目を覚ますと、私の部屋ではないことに気が付く。

あぁ。
死ねなかった。

目覚めてすぐに思ったことが、""死ねなかった"。

あの時、翔ちゃんが止めに入ってきて、そのまま意識を飛ばしていたようだ。

上半身を起こして窓の外を見る。

ここは翔ちゃんの部屋。
この窓から見えるのは、柳の木。

柳の木が揺れるのを見て、私の心も揺れる。

意識を飛ばす前に聞こえた翔ちゃんの声。

"お前は何も悪くない。抱え込む事もないんだよ…。"

"死ぬなんて俺が許さない。一人が嫌なら、俺といろ。"

心が揺れると同時に、心が暖かくなったのを確かに感じた。

でも…。

"人殺し"には代わりはない。

自分に大丈夫と言い聞かせても、落ち着かせることが出来なくなっている。

「本当、私ってつくづくどうしようもない人間だわ。」

涙がとめどなく流れる。

苦しい…。

いつになったら、この闇から抜け出せるのだろう。

いや、抜け出せないだろうね。

いつまでも続く負のループ。

私は何のために生きるのか…。

「分からなくなっちゃった…。」

そう言うと、また涙が流れていく…。

止まらない涙に、この闇も終わらないと言われているようでー…。