誰が話しかけても、表情は"無"。
全ての感情が反応しなくなった。

部屋に隠っては、ずっと座っているだけ。
何をするわけでもなく、ただ一日が過ぎるのを待つだけ。

そんな私を見た清宮組の組長である樹さんが、しばらく清宮に引き取ると姫野組に言ってくれた。

最初は姫野組に引き留められたが、今の状況でここにいることが私にとって1番辛いことだと樹さんは譲らなかった。

「少し姫野組を離れてみるのもいいかもな。後々、後継者として戻るが、それまではうちでゆっくり暮らしなさい。」

幼馴染みだった、そして親友だった父を殺した娘にも関わらず、優しく接してくれた。

もちろん奥さんの優理さんも。

「ここはあなたの家、私はお母さんだと思って暮らしなさいね。」

幼いながらに思った。
どうしてみんな温かいのか。

私は両親を殺したー…。

あたたかさに触れてはいけない。

私は、ここに居るべき人間じゃないー…。