まぁ、莉依の顔を見て安心したいのは俺もだからな。

「悪いが少し、様子を見てくる。」

そう言い、莉依の部屋へと向かった。

莉依の部屋に着くと、ノックをして反応を見るが、何の反応もない。

「莉依?大丈夫か?」

入るぞと断りを入れ、扉を開ける。

カーテンを閉めきって、電気も消しているからか、真っ暗な部屋。

「莉依?」

そう言って目を凝らして莉依を探すと、少しずつ莉依の姿が見えてきた。

少しずつ形どられた姿が見えてきたことに安心を覚えた。

だが、そんな思いも儚く散る。

机に向かい、何かを手にしている莉依の姿にギョッとする。

まさか…!?

急いで電気をつけて莉依に駆け寄る。

「莉依!?」

手にしているカッターをはたき落とし、目に光がない莉依を強く抱き締める。

莉依を1人にするんじゃなかった。

1人になったことで、自分を更に追い込んでしまった。

そこに気づけなかった…。
莉依はSOSをしっかりと出していたのに…。

「やめてよ…私…早くあっちに逝かなきゃ…。」

震えながら俺から離れようとする莉依を
宥めるように背中をさする。

「お前は何も悪くない。抱え込む事もないんだよ…。」

「私は…ひ…人殺し…なの。」

「人殺しなんかじゃねぇ。」

「生き…てるの…が罪…なの…。」

あぁ。
莉依が壊れていく。

名も無き罪に蝕まれ、光を見失い彷徨う。

そんなのダメだ。
俺の前から…この世から居なくなるなんて考えられねぇ。

いや、そんな事させねぇ。

「死ぬなんて俺が許さない。一人が嫌なら、俺といろ。」

もう…一人になんてしない。



sideend