「澤田と清水の接点は出たぞ。」
そう言ってパソコンをまた俺の方に向ける。
人身売買…。
「ひゃー。スッゲーことしとるなぁ。こりゃ澤田の手助けをしておこぼれをもらっている清水と見た!」
「やることがゲスいですね。」
「それと面白いことに、この澤田と清水の人身売買に、関西最大で最恐の組も関与してるみたいだ。」
関西の組が?
「お前らもよく知っているだろう。」
珍しく、素に戻っている慶一郎。
大事な話をしているのに、そっちに気をとられてしまう。
「どんな手段をも選ばない、女・子どもにも容赦なく手を下す…"川上組"だ。」
か…川上組!?
関東でも名前は知られているほどの極悪非道な組。
そんな奴らが、澤田と清水に関与している?
「奴らは何を目的にしてるんです?」
「…まだそこまでは。だが、何かしらの大きなことを隠していることは確かだ。」
何か大きなこと…な。
「まずは莉依を守ることが優先だ。だが、動きは今後もみていく必要がありそうだな。」
川上組…。
何か嫌な予感がしてならない。
澤田との事が終わっても、川上組のことで大きな抗争に巻き込まれてしまいそうな…。
そんな嫌な予感が…。
「ねぇ。」
ふいに発せられた言葉に驚くと、お袋が仁王立ちしてこちらを見ていた。
「何だよお袋。」
「何だよお袋。じゃないわよ!莉依ちゃんのことほっておいて、よくもまぁ仕事を進められるわね。」
「ほっておいてる訳じゃねぇって。けとよ?仕事もやらなきゃならねぇから…。」
言葉を続けようも、そうすることは出来なかった。
何故らなば、お袋があり得ないほどの冷気を発していたのだ。
本気でキレてやがる…。
「翔樹ちゃん?いいから莉依ちゃんの様子を見に行きなさいね?」
「…。」
ここまでくると、俺が行くまでキレたままだろう。
莉依大好き人間であるお袋は、過保護買っていうほどの甘やかし星人だ。
親父がくるか俺が行くかしないと落ち着かないんだろうな。