なんだかんだ、翔ちゃんたちは私達の一歩後ろの距離で着いてきていた。
すると、前からダンディーなおじ様がやって来た。
「川城のおじ様!」
「おー!莉依ちゃんじゃないか。神子芝の所の満里奈ちゃんも、元気そうだな‼」
片手をあげ、ダンディーだけど爽やかさのある笑顔を見せてくれた。
この人に会うのは、小学生の時ぶりで緊張してしまう。
「川城のおじ様、お久しぶりです!!うちの父がお世話になっています!」
「雄太はまだ来てねーのか?」
雄太とは満里奈のお父さん。
神子芝財閥のトップ。
「そうなんです。仕事が長引いていて。でも、一時間くらいしたら来ると思います。」
「お、久々に昔話に華を咲かせられるな。」
そう言いながら私のほうを見て微笑んできた。
「莉依ちゃんも、功希に似てきたな。凌佳ちゃんにも。」
「父と母をご存じなんですか?」
私が問いかけると、柔らかい表情で教えてくれた。
「あぁ、よーく知ってるさ。昔からの仲だ。樹も含め、学生の頃よく一緒に悪さをしたもんだよ。」
「樹さんとおじ様と私の父とで…。」
「功希は誰よりも強かった。学生のころ、から俺らが要らないほど。そして何より人望が厚かった。俺の尊敬する人だよ。そして、凌佳ちゃんも姫で守られる側だったが、負けず劣らず強かった。」
父の人望が厚かったなんて。
母も姫だったのに、守られる側じゃないほど強かったなんて。
「でも…私のせいで死んだ…。」
気づけば、口に出していた…。
「!?な…なんでもないです!」
スミマセンと言おうとしたら、頭が温かくなるのを感じた。
「え…?」
川城のおじ様は、私の頭を撫でながら柔らかい笑みを見せながら話し始めた。
「大丈夫。君のせいじゃない。幼い君を利用した、澤田のせいだ。俺が言う立場じゃねーかもしれないがね。」
まるで、"背負い込むことはない"と言っているようでー…。
そうだと…いいんだけど。
そう思っていると、後ろから強い力で引っ張られた。
「わわっ…。」
「川城の組長、ご無沙汰しております。」
ふんわりとムスクの香り。
振り向くとそこには翔ちゃんがいた。
「もー、引っ張んないでよ!」
翔ちゃんも頭をポンポン撫でてきた。