翔樹side
俺は今、晶達と以前行ったイタリアンレストランに来ている。
奏希さんによると、店は今日は定休日だが、烏丸信吾は仕事場にずっといるとのこと。
裏口にまわり、インターフォンしを鳴らそうとした時…。
「おー、来ると思ったよ!入れ入れ。」
烏丸信吾…だよな?
急にドアが空いて、声をかけられたから、少し呆気にとられてた。
「なんや、前と随分雰囲気ちゃうやんな。」
「えぇ。私も少し驚いてます。」
「…俺達の先代で驚いていたのに、この姿に更に驚かされる。」
三人とも、驚きが隠せないでいるようだ。
すると、ドアから顔を覗かせた烏山信吾がいた。
「いつまでそこに突っ立ってるんだ?早く入れよ。」
俺達は案内され、店内の椅子に座らされる。
そこには、簡単な手料理が並べられていた。
「樹から連絡があってな。飯も食わずに来たんだろ?つまめよ。」
そう言う烏丸信吾は、髪を手でかきあげながら、ラフさのある髪型だが、スーツをしっかりと着こなしていた。
「本当の姿はこっちな。奏希から聞いてるだろうが、俺は姫野組のシークレット組員の一人だ。莉依ちゃんは気付いてないようだが。ここで店を営みながら、情報を探ってるんだ。」
烏丸信吾は、たばこに火を付けながら話を続ける。
本当は内密なんだが、澤田の件があったから致し方あるまい。と烏丸信吾は言う
「で?莉依ちゃんの事で動くんだろ?」
「…はい。何とかお力を頂けないかと思いまして。」
晶が話を切り出した。
「んで、清宮の若達が直々に来たって訳か。ま、予想は付いてたけどな。」
「あんた、まじでシークレット組員なのか。」
「あぁ。功希と凌佳ちゃんを守るために、シークレット組員になることを希望したんだ。そして、功希と凌佳ちゃん亡き今は、莉依ちゃんも守るために。」