「そーいや、澤田に場所と時間言われとらんな?」
翌朝準備をしていると、芳樹の言葉が部屋に響き渡る。
…何でこうも緊張感がないかね。
そう思っていると、陽介が鉄拳を下す。
「いってぇ!何さらすんじゃボケぇ!」
「馬鹿が吠えるとうるさい。」
「なんやとー!?やるか!?」
朝からうるさいわね。
「芳樹、陽介もやめろ。新、出てるだろうな?」
「はい。澤田のデータベースには、姫野向けにメッセージがありました。」
そう言ってタブレットを私たちに向ける。
夜深く、光消えしとき、
野原の雲が多く見えし闇夜を
九時の漆黒が生み出し、
時は流れ君を想う。
似ている眼差し重ね合わせ、囁く。
澤のほとりに小鳥が謳う。
田畑が奏でる愛の中、
組織をも消し去る力を手に入れた。
経た時は戻らずとも、愛は永遠。
来たるその時、
いとおしいと心から捧げよう。
澤田からのメッセージ…。
「…?何やこのキッショイ文章…。全くワケわからんやんけ! 」
芳樹の言葉に、皆がずっこける。
その横で、優杏さんは笑いをこらえている。
「…、お前解らないのか?」
大和がすかさず突っ込むも、芳樹は解らねぇんやから聞いとんや!と吠える。
「芳樹、うるせぇ。説明するから黙れ。」
陽介がキレた。
でも、芳樹は怖がることなく、吠える。
「芳樹、これ、縦読み暗号よ?」
優杏さんは、必死に笑いを堪えながら伝える。
「縦読み暗号?何やそれ?」
「そんな事も解らねぇのか、クソバカ芳樹が。」