ホールの裏側の搬入口。

そこで彼は待っていた。

のではなく、わたしが待たせていた。


「ごめん。遅くなって」

「別にいいけど。...で、話ってもしかしてこの前の?」


察しが良いさつまくんはやはり送った文面で分かっていた。

わたしはさつまくんにもう1歩だけ近寄り、口を開いた。


「さつまくんは夏休みの宿題終わった?」

「は?」

「は?じゃないよ。どうなの?」


わたしの意味深な質問にさつまくんは「終わった」と一言呟いた。


「わたしはね...まだ終わってないんだ。なんだと思う?」

「なんで聞くんだよ。焦れったい」

「これ、さつまくんの真似だよ。この前も本当は分かってるくせにわたしに質問して時間稼ぎしてた。どんだけわたしと一緒にいたいのかなってちょっと引いてたよ」

「時間稼ぎなんてしてないし」

「そ」


とことんさつまくんの真似をすると、さすがにイライラされてしまったから、この辺で勘弁しておこう。

わたしは話を戻した。