「魁くん、ごめんなさい!」

「えっ?澪、急にどうした?」


勢い良く頭を下げたわたしを見て魁くんは混乱してしまったようだった。

それでも、わたしは続けた。

傷つき、傷つけても、

伝えなければならないことがある。

そう、分かったから。


「わたし、魁くんの気持ちには答えられないの。ごめん。本当にごめんなさい」

「そ、そっか...。そっか、そっか......。こっちこそ、何ヵ月も悩ませるようなこと言っちゃってごめん」

「ううん、そんなことない。わたし、魁くんに気持ち伝えてもらわなければ何も始めらなかったから。
今のわたしがいるのは、魁くんのお陰だよ。
好きだって言ってくれてありがとう。すごく嬉しかった。嘘なんかついてないよ」


魁くんは天を見上げた。

まだ灰色の雲が上空を覆い、晴れ間はまるで見えない。

でも、今日これから青空がきっと見える。

太陽は必ず雲の隙間から顔を覗かせてくれる。

わたしには、そんな変な自信がある。

変な自信は大抵良いことに繋がる。

だから、大丈夫。

絶対、晴れるよ。