「澪、来てくれてありがとう。すっげー嬉しい」

「ごめんね。試合見られなくて。今日午前中は学校で遠し練習で、午後はホールでリハーサルなんだ」

「そっちもいよいよだもんな。明日必ず見に行く。良い演奏期待してる」

「うん。頑張る」


そこでキャッチボールは途切れた。

わたしは取りこぼしてどんどん転がっていくボールを必死に追った。

走って走って走って...

ようやく捕まえることが出来た。

なら、もう...離さない。

迷わない。

この気持ちに迷いも不安もない。

今日こそ、伝えよう。

魁くんに悔いなく終わってもらうために。

そして、次へと歩み始めてもらうために。

試合終了と開始のホイッスルを同時に鳴らせるのはわたしだけ。

だから、わたしは...

肺が張り裂けそうなほどに

大きく息を吸って

言葉にした。