夏風邪を引いた。

そう言って休めば良かったのかな?

わたしはあの夜からしばらく熱っぽくて眠れない日々が続いた。

変に真面目なところがあって、あまりにもわたしが出来なさすぎて、先生に"1週間部活に来るな!"と怒鳴られた時でもわたしは部活に行ってしまった。

皆には驚かれたけど、わたしはそれが誠意を見せるってことだから、こうするのは当たり前だと思っていた。

合奏の時にわたしが真ん中にいて目が合ってしまい、先生はため息をついた。


「ある意味すごいやつだな、山本は」


そう言われたのを今でも覚えている。

何がすごいのかはイマイチ良く分からなかったけど、もう少し打ちのめされておくべきだったのかな、とは思った。

反省していないとか思われてるかもしれないと心配になったりもして、それからは練習には行くものの明らかに落ち込んでる風を装うことにした。

先生はそうしていた方がご機嫌だった。

自分の言葉を受け止めてくれたのだと、わたしの表情で感じていたんだ。


つまり、今回も然り。

わたしは告白されて戸惑っている風を装って距離を取るようにすれば良いんだ。

って、頭では計画していたんだけど、実際にはそう出来なかった。

なぜなら、わたしの隣にはいつも

彼がいたから。