ん?

ちょっと、待って。

じゃあ、わたし...爽のこと好きってこと?

あ、でも、恋愛感情的な"好き"ではないよね?

爽のことは親友として"好き"なだけ。

同じ女性として明るくてはっきりしててカッコいい爽に憧れてて、それで"好き"なんだ。


でも...

でも、もう1つの方は...


え。

いや、でも...

まさか。

まさか、そんな...

わたしが、

わたしが、さつまくんを...?


「あ、有り得ない。ないない」

「何が?」

「何がって、わたしがさつまくんのこと好きなんて有り得...」


全力否定したわたしの前にさつまくんはしゃがみこんだ。

そして、わたしの顔を覗いてくる。

至近距離の戦い、再び。

あの時も異様にドキドキしたけど、

今日はそれ以上にドキドキする。

今にも心臓が口から飛び出そう。

わたしはひとまず目を瞑った。

何も感じないように、

何も考えないように。

とりあえず冷静になろうとした。

けど...


「オレはさ」


ゴーッとバスが近付く。

わたしはその音に反応して目を開いてしまった。

バスのライトに照らされて2つの影が出来る。

そのシルエットはいつにも増してはっきりと輪郭を帯びていた。


――ププーっ...。


バスのクラクションが鳴る。

もうすぐ、ドアが開く。


と、その時だった。