「山本?」

「わたし...嫉妬してるのかも」


突如脳裏で発光した気持ちをそのまま口にしてしまった。


「誰に?」


さつまくんはやはり聞いてくる。

"そ"と素っ気ないのはあまり重要じゃない話題の時だけ。

今はわりと重要だと判断したらしい。

わたしは続けた。


「爽と深月さん、仲良くなったみたいで、さっきメールが来たの。爽から送られてきた写真見てたらなんか...なんか切なくなって。爽が深月さんに盗られちゃった...みたいな。そんな気持ちになった。あと、あとは、ね...」


そこまで言ってハッとして口を閉ざした。

さつまくんが目の前にいるのに、あのことまで話してもいいの?

わたしはそれで後悔しない?

疑問符が津波のように押し寄せてきて、頑丈な防波堤で防いだ。

だけど、それを越えて静かにわたしの胸に水が入り込んで来た。

このままだと浸水してしまう。

逃げ場がなくなったら溺れてしまう...。

どうしよう...。

どうすればいい?


私が黙り込むと、さつまくんが痺れを切らして口を切った。


「あと、何?そこまで言っておいて言わないとかナシだから」


罪悪感に訴えられたら引き下がれない。

わたしは口走ってしまった自分に腹を立てながらも、覚悟を決めて話すしかなかった。


「秋穂ちゃんとさつまくん...にも...なんか、なんか...分かんないけど、こう...胸が締め付けられたというか、なんというか...とにかく苦しくなった」