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「それで、式はいつなんだ?」
「半年後です。今はドレスの仮縫いをしてますよ」
「そうか、よかったな。アルは未だにスーリアの父上の説得に苦戦しているようだ」

 ルーエンから話を聞き終えたエクリードは、紅茶を一口含むとふっと笑った。

 視線の先には花畑で花の世話をするスーリアと、それを手伝ってやっているアルフォークの姿が見えた。スーリアの花畑は拡張工事が行われ、当初の十倍近い面積が広がっている。その花畑の管理長として、スーリアは庭師と共に全体の世話をしている。これらの花は国に納められて各地に植え付けられる他、アルフォークの実家が経営する商社から国中、時に国外まで輸出されている。

「殿下は、なかなかよいご縁がありませんね。アルもそうだったから、もうすぐかな」
「一応、口説いたんだ」
「またまた」

 ルーエンが笑って話を流す。エクリードはもう一度スーリアとアルフォークを眺めた。