アルフォークはプリリア王女を見上げた。
「キャロルは、魔法騎士の職を任免されるような事は何もしておりません。むしろ、彼女はよくやってくれています。何かの間違えではないでしょうか?」
まっすぐに見上げるアルフォークを見て、プリリア王女は不愉快げに顔を顰めた。
「私が間違えているというの?」
「そのようなことは……。何かの行き違いがあったのではないかと。解雇の通知書はあるのでしょうか?」
「そのようなもの、必要ないわ。王族の私が辞めろというのだから、それで十分でしょう?」
「しかし……」
キャロルは顔色を失った。これ以上王族であるプリリア王女に意見すれば、最悪の場合アルフォークが不敬罪に問われかねない。こんなところで輝かしい未来が約束された魔法騎士団に、職を失わさせるわけにはいかないと思った。
「承知致しました。私が魔法騎士を去ります」
「キャロル!」
キャロルの言葉に、アルフォークが止めようと名を叫ぶ。
「私が去れば、全てが丸く収まります。お世話になりました」
「懸命な判断だわ」