「…なに?」


私があまりにも顔をジッと見ているのが気に入らなかったのか、その人は不機嫌そうな顔をした。


クールボーイなのね。



「ううん。何でもない。コレ、ありがとね!」


「どうでもいいけどさ…。お前、もうちょっと勉強したら?」


「勉強したよ!勉強したけど、この点数だったの」


「………そう…」



アレ、この人…。

さっきのタモちゃんみたいな顔してるけど、この人も疲れているのかな?



カバンの中を漁り、苺のキャンディーを取り出す。


「じゃあ、これあげるよ!」


「何が、じゃあ…なのか分からないけど…いらない…」


「いやいや、疲れているんでしょ?
ストレス社会で生き抜くのは大変だもんねぇ。
疲れているときは甘いものよ!」


「別に疲れてないけど…」


「無理は禁物よ!
ストレスって、自分じゃ気づかないうちに溜まっていくんだって!
これでも食べて、元気だしてね!じゃあね!」



さようなら、イケメン。

もう会うことはないと思うけど、お元気で…。



「おい!ちょっと待て!っていうか、元気出さなきゃいけないのはお前だろ!?」


遠くのほうでイケメン君が叫んでいるけど、何だろう?

苺の飴のお礼かな?

礼儀正しい人なんだね。




って、あのイケメン君、誰だったんだろう?


私服だったから、うちの生徒ではないよね?



まあ、いっか♪


あんなイケメン初めて見れたし。

人助けもしたし。



なんて清清しい1日だったんだろう!



私はスキップして学校の外に出ていった──…。