クリリンは教科書をパラパラめくる事に、だんだんと顔を変化させていった。


「…おい…何だこれは……」


「何ってパラパラ漫画だよ?50分もかけた私の大作!すごいでしょ?」


「50分って授業中、全部これ書いてたって事じゃねーか!!
授業聞いてないなら、教科書必要ねーだろ!!
てか、人の教科書に勝手にラクガキすんな!しかもボールペンで!!」



「ああ、ごめん。50分っていうのは大げさだった。
本当は40分くらいかな~。
あとの10分は、また別のサービスにかけたから!」



私の言葉に、クリリンは再び教科書をペラペラめくっていった。



「織田信長は、ちょっと今風な感じにしてみました。
そして、ペリーさんはキュートな感じに仕上げてみました。可愛いでしょ?」


「…………ッ」


教科書を見たまま、無言で動かないクリリン。



あれ?肩が震えてる。


もしかして、笑いを堪えてる?



「クリリン?大丈夫?笑いたいなら笑っていいよ?」



クリリンは教科書から顔をあげ、バコッと教科書の角でわたしの頭を叩いた。



「イタッ!!教科書の角は反則だー!!反則負けじゃーー!!」


「ホント、お前ってバカだな…」



そう言って教室から出て行ったクリリン。




最後の”バカだな…”って言ったとき、口元が笑っていたのは気のせいかな?




クリリンの笑った顔って不思議だ…。


なんか、心がほわんって暖かくなって、もっと笑った顔が見たいって思うんだ──…。