先生の肩は、思っていた通りガチガチだった。


「先生?社会を生き抜くって大変ですねぇ。
私はオバケの世界で生きたいですわ」


先生は私の言葉にビックリした様子で、後ろを振り返った。



「はッ?オバケって…。まさか自殺するんじゃあるまいな!?

吉本!!いくらテストの点数が悪かったからって、死ぬことないじゃないか!!

そんな事をしたら、ご両親がどんなに悲しむことかっ!!」



こんなご時世だから、きっと教師の皆さんは色々と気苦労が絶えないんでしょうねぇ。

生徒が問題を起こさないかって、ハラハラしてるんだろうなぁ…。




「いやいや。ほら、歌にあるじゃないですか。

【オバケにゃ学校も~♪試験も、なんにもない♪】って。

素晴らしい歌ですよね!」





「………吉本…。
先生は、おまえのいない世界で生きたいよ…。

頼むから、もう、ホント教室帰って…?

おまえと話していると胃が痛くなってくるから……」



ありゃ。

それじゃ、しょうがないね。

私はこの辺で退散させて頂くことにしようかね。



「じゃあ。先生、失礼しま~す」



先生は、力なく片手をあげて応えた。