誰もいない放課後の教室。
窓ガラスは夕焼けの朱色に染まっている。
「うっ、ううう…」
「渡辺…泣いてるのか?」
「…瀬戸内くん…。
なんかクラスの皆に嫌われちゃったみたいで…。
わたし一人きりになっちゃったの」
「何言ってんだ?
俺がいるじゃないか」
「…でも、瀬戸内くんは吉本さんに頼まれただけじゃない。
私と仲良くしてくれって…。
だから迷惑かけられないよ…。
私と喋ってると、瀬戸内くんまでクラスの皆から仲間はずれにされちゃうよ」
「そんなの関係ない!」
「…せ、瀬戸内くん…?」
「確かに初めは頼まれて…だったけど、いつの間にか渡辺のこと気になって、ほっとけないんだ。
渡辺、俺の傍にいてくれないか?」
「瀬戸内くん、嬉しい…」
「瀬戸内くんなんて他人行儀な呼び方やめてくれないか?
出来れば、リョウリョウって呼んでくれ」
「分かったわ。私のことはミュウミュウって呼んで」
「ミュウミュウ…」
「リョウリョウ…」
ミュウミュウ
リョウリョウ……
「ニャーーーー!!!
やめてーーーー!!」
「お前がやめろ!!」
私は、タモちゃんの叫び声と、後頭部の痛みで目を覚ました。