「あ、でも吉本さんとお話しするのは初めてですよね!?
私、渡邊美雪といいます」
「私は、吉本良子です」
何か誤魔化されている気がするけど、『挨拶は基本』だという両親を躾けを守って、自己紹介を返した。
「さっき言っていた事ですけど、そう言われても仕方ないんです…」
「さっき言ってた事?」
何話してたんだっけ?
「自分で言ったことを即行で忘れんな」
私の心を読み取ったように、クリリンがつっこんだ。
クリリンうるさい!
「えっと、ブリッコしてるとか、何とかって…」
そうそう、確かにそう言ったわ。
わたし。
渡邊さんの言葉に頷いた。
「私、人付き合いとか苦手で…。
特に男子と話すのが恐くてビクビクしちゃうから、そういう風に誤解されちゃうみたいで…」
「男子が恐い?
ああ、クリリンとか恐いよね!
睨んだ顔とか特に!!」
隣から、まさに恐いと思っている顔がチラリと視界に入ってきたけど、見ないようにした。