「あのー、クラスで渡邊さんの事を話していて、同意を求められたんだけど、渡邊さんと話したことがなかったのでーー…えーっと…」


こういう時、なんて言えばいいやら!

分からない!


「渡邊さんのこと何も知らないのに、賛同できなかったんです!
 だから、渡邊さんとお話しがしたいんです!
 私と話して下さい!!」


ふう…。

言いたいことが言えた…。


思ったことがキチンと言えた満足感に浸っていたのに、返ってきたのは笑い声だった。


渡邊さんだけじゃくて、クリリンもそっぽを向いて笑いをかみ殺している。


「ククク…やっぱお前っておかしな奴」


何をーー!!

何がおかしいんじゃ!!


「クスクス…吉本さんって面白い方ですね」

「あれ?なんで私の名前……」


渡邊さんとは面識がなかったはずなのに、なんで私の名前知ってるんだろう?


「吉本さんも最近噂になってるので…」

「へ?噂?なんの?」

「…えーっと…」


渡邊さんは言いづらそうに口ごもって、何故かクリリンの顔を窺っている。


ジロリと睨んだクリリンを顔を見て、渡邊さんは慌てたように「何でもないです…」と言った。