私は思いっきり頭を下げた。

「わ、渡邊さん!すみませんでした!!」


暫しの沈黙のあと、頭上からクスクス笑う声が聞こえてきた。

その笑い声に、私はゆっくりと顔をあげる。


「気にしないで下さい。皆からそういう風に言われていることは知っているので」


目の前に飛び込んできたのは、とびっきりの笑顔だった。


花がパッと咲いたような明るい、優しそうな笑顔。

光に反射してツヤツヤ輝いた長い黒髪。

すべての光を吸い込んでいるようなキラキラした大きい瞳。

サクランボ色をした唇も、水を弾きそうなほど潤っている。


わお。

美少女!!



「で、あの…。私に何か用事でも?」


遠慮がちに上目遣いで問いかけてくる渡邊さんは、ますます美少女という名に相応しいほど可愛らしい。


「…なんて可愛らしい娘さんなんだ…」


「お前はオッサンか」


思わず口に出た言葉に、クリリンからツッコミが入った。

軽く叩かれた後頭部が、少し痛い。


私がもの覚え悪いのって、ツッコミのせいかもしれない。


クリリンからは叩かれ、

タモちゃんからは叩かれ、

香織にも叩かれ、

その他、たくさんの人からも……


きっと私の脳細胞は、死滅状態に違いない。



……って、そうじゃなくって…