1組の教室に到着し、乱れた息をゆっくり整えて、グルリと教室の中を覗く。


お弁当を食べている生徒。

黒板にラクガキをしている生徒。

机をくっつけてお喋りしている女子。

教室でふざけ合っている男子。


クラスは違えど、自分のクラスと同じような休み時間特有の、賑やかな光景が作り出されている。


開けはなれたドアから、ゆっくりと教室の中に入っていく。


渡邊さんはどこにいるのかな。


教室の中を見渡して、渡邊さんの姿を探す。


渡邊さん

渡邊さん……



って、私…

渡邊さんの顔知らないんだった!!


顔が分からないんじゃ、探しようがないじゃん!



「何やってんだ?」


誰かに聞こうかと思った矢先、背後から聞き覚えのある声がした。

クリリンだ。


振り向くと、腕をくんだクリリンが立っていた。


「クリリン!渡邊さんって、どこにいる?」


私の問いかけに、クリリンは眉間に皺を寄せて、不思議そうな顔をした。
そして、すぐ後ろに目線を移す。

クリリンの目線を辿っていくと、席に座って本を読んでいる一人の女子生徒の後姿があった。


なるほど。
目の前にいたのね。