教室の窓から見える景色は、すっかり秋めいていた。


イチョウの葉が、秋風に吹かれてハラハラと宙を舞っている。


教室の窓を開けると、秋風がそっと私の頬を撫ぜ、髪をそっと揺らしていく。


そう、穏やかに…


そっと……

そっと……


「ヨッシー!窓しめてよ!風でプリント飛ばされるから!」

「おい、吉本!さみぃーから窓閉めろよ!」



ああ、切ない…。


恋って…

恋って複雑で、儚いものだったのね。

それに何だか切ない。


「ねぇ香織?」

私の声に、香織は雑誌から顔を上げた。

「なに?」

「いま私の背中から哀愁漂ってない?」

「は?背中?」


香織は私の背中を覗き込んだ。



「クリーニングのタグがついてるけど」


「…………」