放課後
人で賑わう喫茶店。

学校の最寄り駅の駅前から少し離れた所に位置するココは、香織とよく利用している。

カントリー調の可愛らしい内装が、落ち着くんだ。


「よしこー、一体どうしたのよ?」

目の前に座る香織が、最近の私の不可解な行動を心配してココに連れてきてくれた。

私はお気に入りのラズベリーパイをフォークで突付きながら、どう答えようか考えていた。


「…私、忘れられないの」

「は?何が?」

「……クリリンの顔が…」

「涼介くんの顔が?それどういう事?」


私はこの間あったことと、今の気持ちをすべて話した。


クリリンの顔が頭から離れないこと。

ドキドキして、恋をしたかもしれないこと。

でも自分の気持ちが分からないこと。


すべて聞き終わった香織は、長い溜息を吐き出したあと、こう断言した。



「良子、それは恋ね」