「良子!またなの!?
一体どうしたの!?」


香織がビックリしたように問いかけてくる。


「あああぁ、何でもないよ…」


クリリンを好きだと自覚してから私はいつもこんな調子だった。

正確にいえば、『恋をしたかもしれない』


自分のことながら、この感情が本当に恋愛感情というものなのかはよく分からない。


でも、あの日のクリリンの顔が頭から離れなくて、思い出す度に発狂を繰り返している。


目の前にクリリンの顔があって…

シャツから洗剤の香りが漂ってきて…



「ぎゃあぁぁぁぁ!」



「いい加減にしろ!
吉本!授業中に発狂するな!」


バシッと叩かれた頭を抱えながら見上げると、タモちゃんの呆れた顔があった。


ああ、何だか
タモちゃんの顔を見ていると安心するよ…。

クリリンの顔は整いすぎてて落ち着かないもん。


「タモちゃんがイケメンじゃなくて良かった…」



「………吉本…出るか?」

タモちゃんの親指が廊下を指している。
顔が怒りでいっぱいだ。


「…いえ、廊下は寒いのでココにいます…」

「じゃあ、授業に集中しろ!」


また頭を叩かれた。
さっきよりも数倍も強い力で。


ああ、恋をするって痛い…。


目から少し涙が出た。