志穂が店を出た後、一也は一人で呑んでいた
「やっぱ気づかないよな…。
気づく訳ねーよな、あの鈍感な志穂が。
気づくなら、とっくの昔に気づいてるよな。
俺の賭けは見事に外れたってことか…。
さて…、これから俺はどうすればいいんだ」
そんなことを一也は思いながら呑んでいた。
そこに声を掛けてきたのは一馬だった。
「志穂ちゃんに告白でもしたのか」
そう言って一也の横に座った。
「俺に告る勇気なんてねーよ。
賭けてはみたけど、ものの見事にダメだった」
「思い切って言っちまえよ。
お前と志穂ちゃんは簡単に壊れる様な付き合いじゃないんじゃねーのか。
告ることも忘れることも出来ないじゃ、前には進めないぞ」
一馬はそう言って、また客の元に戻って行った。