志穂のこの言葉に、一也は呆気に取られた。
まさか、志穂の口からこんな言葉が出るなんて思ってもいなかったからだ。
恋愛経験は決して多いとは言えない志穂。
恋愛に関しては、子供みたいなことばかり言っていた志穂だったのに…。
「志穂…、お前変わったな…。
そんな大人臭いこと言うなんてよ」
志穂は一也の腕を叩いた。
『人のことバカにしないでよ。私だって二十一の女だよ。
いつまでも子供じゃないんです』
志穂がそう言って笑うと、元気がなかった一也も笑顔を見せた。
「志穂をそこまで大人にしたのは、今付き合ってる彼氏の影響か」
志穂が驚いた顔をした。
「居るんだろう、彼氏。
携帯の電源切れてること多いもんな」