こんな二人の姿を、少し離れた場所から一馬は見つめていた。


一也が自分のことを言っているなんて、全く気づいていない志穂。


『彼女がかわいそう…』と思わず一言。


今日、一也が何故志穂にこの話をしたのか。


それは、一つの賭けでもあった。


志穂に自分の気持ちを正直に言えない一也は、
遠まわしな言い方で志穂に気づいてもらおうと考えた。


のだが…、鈍感な志穂に気づかれないことも覚悟していた。


もし、志穂が気づいてくれたら、自分の気持ちを志穂にぶつけようと考えたのだが…。


『一也、好きな人が居るのに、別の人と付き合ったらダメだよ。
そんなことしたら、彼女だけじゃなく、一也だって辛いでしょ、苦しいでしょ。
傷つけ合う付き合い方は苦しいだけだよ』