志穂は手を止め、一馬を抱きしめた。


『一馬、何かあったなら言って。
私じゃ頼りなくて話せない?
私、一馬のためなら何でもするよ』


志穂のその言葉に、一馬は志穂を強く抱きしめた。


「ありがとな、志穂。
心配する様なことは何もないんだ。
ただ、ちょっと聞いてみただけなんだ」


そう言って志穂を見つめた一馬は、少し悲しそうにも見えた。


最近の一馬はよくこんなことがある。


そして、こんな日は激しく志穂を抱き、必ずこう言うのだ。


「志穂、愛してるって言ってくれ」と…。


一馬の寝顔を見ながら、志穂は思う…。


『一馬…、一馬を悩ませてるのは私なのかな
一馬の悲しい顔を見るのは辛いよ…。
でも、私は一馬から離れられない』