志穂と一馬は、数ヶ月前からこの部屋で逢っている。
お互い、週に三日この部屋に来る。
平日は一馬が朝方帰って来るので、志穂は眠っている。
この日もジグソーパズルを広げたまま、志穂は眠っていた。
一馬は静かに部屋に入り、志穂の横に座り、髪を撫でていた。
頭の中では、今日一也が言っていた話が離れずにいた。
一也は自分のことを最低だと言った。
「一也…、最低なのは俺なんだ…。
お前の気持ちを知りながら、俺は志穂のことが…」
『一馬…、お帰り』
眠っていた志穂が目を覚ました。
「ごめん…、起こしちまったな」
『ううん、そんなことないよ』
志穂はそう言って微笑んだ。