嬉しそうにプリンを食べる志穂に、一馬はあの話を切り出す。


「志穂、実はさ、俺部屋を別に借りたんだ。
その部屋だったら、人目を気にすることなく、いつでも俺達逢えるから」


プリンを食べていた志穂の手は止まり、ジッと一馬を見ていた。


「喜ばないのか、志穂。
これからはいつでも逢えるんだぞ」


志穂はうつむき、何故か元気がなかった。


志穂が喜んでいる姿を想像していた一馬は、拍子抜けしてしまった。


「どうした?嬉しくないのか」


『一馬さん、嬉しいけどダメだよ。
一馬さんはお店を持ちたくて、一生懸命仕事してお金貯めてる。
それなのに、部屋なんて借りたらダメだよ』


この志穂の言葉を聞いた一馬は、志穂を愛おしいと思った。