その付き合わせる理由など、志穂は気づくはずもないのだが…。
一也は今日、志穂の口からどんな言葉が出るのか、
恐怖と不安と緊張の中にいた。
一也が志穂を連れて来たのは、いつもの居酒屋ではなかった。
『あれっ?今日は違う店?』
「たまには違う店ってのもいんじゃねーか。
ここは俺の友達が働いてる店で、なかなかいい店なんだぜ」
外見は洋風でイタリアンレストランかと思いきや、
中に入ると時代を感じさせるレトロな店内。
とても暖かさを感じる店だった。
店の中から一也の友達が出て来て、奥の個室に案内される。
『意外だな…、一也がこんな落ち着いた雰囲気の店に来るなんて』
志穂は興味津々で店の中をキョロキョロ見ていた。