そう言って、さっさと電話を切ったのは一也だった。
最近は一也からのこんな電話が多くなっていた。
さっさと電話を切られて、いつもの様に志穂は文句を言う。
『はぁー、何であいつはいっつもこうかな。
言いたいこと言って、さっさと切るんじゃないよ』
一也から電話が来るたびに、志穂は同じセリフを口にする。
そして、一也に言われた通りに逢いに行く。
「お前さぁー、まだ二十一の若さで、アル中は悲しすぎるぞ」
だるそうに現れた志穂に、一也もまたいつも同じセリフを口にする。
『誰がアル中なのよ。
私はお酒がなくて、手が震えるなんてことないよ』
一也は、こんな強気な志穂の言葉を聞くとホッとする。