朝方、一也は志穂を気にしながら、家へと帰った。
家に帰っても眠らずに、朝七時、志穂を起こすために電話をする。
酔いつぶれた次の日は、志穂は自力で朝起きられない。
だから、一也がいつも起こしている。
今日は十回目の電話で志穂が起きた。
『はい…』
不機嫌そうな志穂の声。
「おはよう、やっと起きたか。
また寝るなよ、仕事遅れるからな」
なんて、健気で優しい男なのだろうか。
『おはよう…、眠い…』
「さっさと起きて、顔洗ってこい。
スッキリするから」
『うん…、わかった…』
と言いながら、志穂はちょこちょこ寝てしまうことがある。