そんな切ない一也の恋心など、志穂に届く訳もなく、志穂は眠り続けていた。


一也は、志穂の寝顔を見ながら、出会った頃を思い出す。


転校して来たばかりの志穂は、いつも一人だった。


志穂が転校して来て、一週間くらいのこと。


昼休み、一也が屋上に行くと、志穂は空に向かって手を伸ばしていた。


その時、一也が志穂に声を掛けた。


「手なんて伸ばしたって、空はつかめねーぞ」


その時、志穂は一也にこう言った。


『空を掴むんじゃないよ。感じるんだよ』


一也にとって、この志穂の言葉はとても心に残った。


この日を境に、二人は話をする様になり、気がつけば、
二人はいつも一緒に居る様になっていた。