店を出た二人は、いつも行く居酒屋へとやって来た。
志穂はビールを呑みながら、グッタリとしていた。
「志穂…、そんなに落ち込むなって…」
と勘違いしている男がいた。
『落ち込んでないわ。
人ごみの中にいると疲れない。
お酒呑む時は、座ってじっくり呑みたいよ。
あんな中じゃ、呑んだんだかなんだかわかんないわ…』
一也は志穂の頭を撫でた。
「悪かったな…。
志穂が人ごみ嫌いだって知ってたのによ。
でもよ、アニキに志穂の事紹介したかったんだ」
何で?と言う顔で、志穂は一也を見ていた。
だが、一也はその理由を言わないで、知らん顔でビールを呑んでいた。