そのシルエットがようやく映し出され、志穂はハッとした。
「おっ、一也、よく来たな」
目の前に居たのは、超イケメンだった。
ニッコリ笑ったその顔は、真っ直ぐに志穂を見つめていた。
志穂はその笑顔に、動けずにいた。
「スゲー人だな…。
あっ、アニキに紹介するよ」
一也が話している途中で、男はこう言って志穂に手を差し出した。
「君が噂の志穂ちゃんだね。
俺、一也のアニキやってる一馬です」
ドキドキした心臓が爆発しそうだった。
騒がしい店の中、一瞬、何も聞こえなくなり、
まるで時が止まった様にも感じた。
差し出そうとした手は、密かに震えていた。
そんな志穂の異変に、一也は気づいていた。
そして、一馬の異変にも…。