二人が店に着くと、パーティーはすでに始まっていて、もの凄い盛り上がり。
店の中は人で埋め尽くされていた。
「すげー人だな!志穂、潰されんなよ」
一也は志穂の手を引きながら、志穂を気遣っていた。
『一也のお兄さんって、やっぱ凄いよね。
これだけの人が集まってるんだから』
とかなり大きな声で志穂が話しているのだが、
音楽と人の声で一也には聞こえていない。
人を掻き分けて、ようやくカウンターにたどり着いた。
「アニキー!」
一也がそう叫ぶと、カウンターの中で、手を振る男がいた。
その男は、一也と志穂の方に歩いて来る。
薄暗い店の中、男のシルエットだけが、志穂の目には映っていた。
高鳴る鼓動を感じながら…。