この時の一也の顔は、とても優しい顔をしていた。
「泣きたかったら泣けばいんだよ。
その時は、俺の胸、貸してやるから」
一也の言葉に、志穂は心が温かくなった。
一也は昔から変わっていない…。
志穂が辛い時、苦しい時、いつもそばに居て、励ましてくれていた。
『一也は昔から、いっつも私の事を励ましてくれてるよね。
私は一也にどれだけ救われて来たかな』
志穂がそう言うと、一也は照れていた。
「そんなことはいいから、早く行くぞ」
この時の一也の顔は、ほんのり赤かった。
『一也…、ありがとね…』
志穂は小さな声で呟き、一也は志穂の頭を撫でていた。
いつも安らぎと安心を与えてくれる一也の存在は、
志穂にとって、とても大切なはずだった…。