夕方六時過ぎ、閉店時間の六時半には少し早いが、志穂は店を閉めた。


『はぁー、今日はマジで無理…。
仕事なんて出来る状態じゃないわ…』


志穂はカウンターに伏せたまま、ぼんやりと音楽を聴いている。


悲しいけど、もう涙は出ない…。


昨日、枯れるほど、涙を流したから…。



志穂は昨日の彼の言葉を思い出していた。


よくよく考えれば、プロポーズらしきことを言っていた。


でも、ハッキリプロポーズした訳ではなく、
凄く遠まわしなものの言い方をしていた。


『もし、私がついて行くって言ったら、どうしたんだろう。
でも、そう言わない事を分かってて、あんな言い方をしたんだよね…。
大人って、やっぱずるい…』


不満爆発で、腹が立って来た志穂。