夜が少しずつ明けていく…。


昨日の雨が嘘の様に晴れている。


一也のことが頭から離れない。


一也が悩んでることに、志穂は全く気づかなかった。


一也はいつも志穂を助けてくれていたのに…


「志穂、起きてたのか」


一馬が帰って来た。


『あっ、うん、お帰り。今日は早かったね。
お腹空いてるでしょ。
一馬の好きなカツカレー作ったんだ』


志穂は慌ててキッチンに向う。


「志穂、なんかあったのか」
一馬にはすぐに分かった。


志穂の様子がおかしいことに。


『えっ、何もないよ』


志穂は笑顔でそう答えた。


だが、頭の中には一也の顔が浮かんでいた。


志穂の後ろ姿を見ながら、一馬は思い出していた。