夜十時過ぎ、志穂の携帯が鳴った。
『あっ、携帯の電源切るの忘れてた』
志穂はこの部屋に居る時は携帯の電源を切る
一馬との連絡用の携帯以外は。
バッグから携帯を取り出す。
『一也からメールだ。珍しいな』
一也はメールが好きじゃないと言って、あまりメールはしてこない。
メールを見ようとした時、一馬から電話が来て、
志穂はメールを見ずにバッグにしまった
一馬からの電話で買い物を頼まれた志穂は、一也からのメールのことはすっかり忘れていた。
この頃一也は、携帯を見つめていた。
「志穂…、何で返事くれねーんだよ。
俺、どうすればいいんだ、教えてくれよ」
晴海と別れられない苛立ちと志穂へのつのる想いが一也を苦しめる。
そして、一也は志穂に助けを求めた…。