【新米KY山田】
副校長→「校長、あの
お言葉ですが・・・」
少し間を空けて続ける

副校長
「生徒達の利害とは
どういうことで
しょうか?」
ほとんどの先生方が
教頭の”返し”に
暗黙のうなずきをした
ような空気に
なっている。

校長→
「君達は中学時代
部活動していたかね?」

またまた主語のない、
謎掛けのような校長の
問い掛けに
ほとんどの先生方が
聞き耳をたてずに
黙り込み、下を向いた。

そんな中、新任の
山田由紀子が
空気をよめず、
すぱっと進んで答えた。

山田「校長先生、私は
バレー部にいました。
それはそれはとても
活発な部で、
顧問の先生はとても
きびしかったです。
だけれども、
そのおかげて県大会で
優勝できました。
顧問に感謝しています。」

山田の突拍子のない、
空気切り裂き返しに
周りはふざけるな!
とまで 甚だ思った。
しかし、校長は山田の
言動に用意していた
かのように続ける。

校長「山田くん、もし
顧問がいなかったら、
って考えられるかい?」

もうこれはどうみても
どっぷり二人の世界に
なっていた。

山田「校長、それは…
考えられません。
もちろんキャプテンは
いましたが、
皆十人十色でしたし、
やはり大人の存在は
”必要”でした!」

山田は周りの空気を
考えない、いや
考えられない、
若々しい、そう、
まるで校長の
信者のようだった。

ここでやっと校長が
二人の世界に
谷村を引き込んだ。

校長→「谷村先生、
君はサッカー部の
兼任顧問として、
正直に答えて
ほしいんだが、
この一ヶ月は
どうだったかね?」

谷村は少し間をとり、
作らない言葉で答えた。

谷村→「私は正直、
バスケ部のいままでの
ペースは変えれない、
やはり名ばかり顧問と
しか答えられません」

谷村はベテラン教師で
あるが、まるで
ありのままを話す
新任のような感じで
答えた。

「みなさん!オホンっ」
離れ離れになっていた
”場”を統括した校長は淡々と続ける。