「俺も。最後まで予想つかなかった」

大抵のドラマや映画は、なんとなくこの人とくっつくんだろうなー、とか大方の予想はつくと思う。でもこの映画はその概念を見事に壊してきた。



「あんなに想われてたのに、恋愛って残酷」



主人公の女の子は1年以上付き合っている彼氏がいるにもかかわらず、何年かぶりに再会した幼なじみのほうに惹かれていった。幼なじみと何度か会ううちに好きになってしまった。幼なじみもまた、女の子のことを好きになっていった。女の子はふたりの間で揺れ動く。彼氏がいるから気持ちを抑えなければいけないのに、そう簡単に感情をコントロールするのは難しかったらしい。



「そういうものなのかもね、恋愛って」

「でも最終的にはみんな幸せそうだからよかった」

「そうだね」



もしも幼なじみが現れなかったら、ふたりはずっと付き合っていたかもしれないし、はたまた別のことが原因で別れることになったのかもしれない。

何が起こるかまったく予想できないのだ。それは誰にもわからないし、わからなくていいのかもしれない。


わたしだって、凌介くんと付き合っていることで誰かを傷つけているかもしれない。恋愛に悩みや傷はつきものだ。








「凌介?」


上映時間が迫る映画もあり、映画館内はわたしたちが来たときよりも人が増えてガヤガヤしていた。


それでも、わたしの耳に入ってきた声は隣で歩いていた凌介くんの耳にも届き、ふたり揃って足を止めて声が聞こえたほうへと振り返った。