「ふー」と息を吐いて呼吸を整える。ちらりと上目で表情を伺えば、サイダーを飲みながら横目で見下ろされた。
「わたしも好きだよ」
余裕そうな横顔に、呟いた。すると、凌介くんはごほごほと咳き込んだあと、口元を手の甲で抑えて軽く睨んでくる。
「……仕返し?」
「ちがうよ、ほんとに思ってるから言ったの」
好きだと伝えたり、スキンシップをとったり。恥ずかしくてなかなか気持ちを素直に伝える機会がないけれど、でも、だからこそ、こういうときにきちんと伝えなきゃ。
「ねえ凌介くん」
顔を背けたまま、一向にこっちを見てくれない凌介くんの肩をぽんぽんと叩く。
「あー、俺もう戻らなきゃ」
「え? さっきはまだ時間あるって」
「もうなくなった」
「うそじゃん!」
ふっと揶揄うように笑う声が聞こえたと思ったら、凌介くんが振り向く。ほんのりと頬が赤く染まっている。
「かわいいね、凌介くん」
ふふ、と思わず零してしまえば、「はあ?」なんて不満そうな顔を見せる。
「そんなこと言われても嬉しくないんですけど」
「だってほんとにかわいいんだもん」
「あーもうほんと部活戻るから」
「じゃあわたしも途中まで着いてこ」