「かわいくてやさしくて非の打ち所ないじゃん。そりゃー好きになっちゃうよなー」

「それは褒めすぎだよ」

「そんなことないって。世莉ちゃんはもっと自信持ってよ」

「凌介くんこそ」

「俺?」


戸惑いがちに視線を合わせた凌介くんに「うん」と頷く。



「凌介くん、自分が思ってる以上にかっこいいんだからね」



外見がかっこいいのはもちろんのこと、優しさまで兼ね備えてるんだから内面までイケメンだ。

デートしたときにそれを実感した。ショッピングモールで迷子になって泣いていた小さな男の子をインフォメーションまで連れて行ってお母さんが来るまで一緒に待っていたり、大きな荷物を持って横断歩道を渡っているおばあさんを手伝っていたりもした。



人助けをしたいという気持ちは持っていても、実際行動できる人はそのうちの半分にも満たないと思う。わたしもそのひとり。だから、凌介くんのことは好きと同時に尊敬もしている。



「前に1年生の廊下の前通ったんだけどね、そのときあのイケメン誰?って騒がれてるの見たもん。凌介くんは知らないかもだけど、けっこう好意寄せられてるんだよ」



あまりの人だかりに気になって窓の外を見てみたら、体育終わりの男子集団がいて。そこにいた女の子のひとりが、『あたし知ってる! サッカー部の佐田凌介先輩だよ!』と言っているのを耳にした。



「なに、ヤキモチ?」