「どう?」
こてん、と首を傾げて凌介くんが見つめてくる。
その拍子にはらりと髪が流れた。いつもは前髪で隠れている眉毛が見えていて、なんだか男らしく感じる。
「かっこいい。いつもと雰囲気変わっていいと思う」
「よかったー」
安堵の表情を見せて、「似合わないって言われたらどうしようかと思った」なんてわらう。
本当に似合っている。ときどき部活覗きに行こうかななんて思う。普段とは違う凌介くんが見れるの、新鮮な姿にときめきそうだ。まだ数えられるほどしか見に行ったことがないから、今度内緒で行ってみよう。凌介くんに見つからないように、こそっと。
「やっぱさ、世莉ちゃんってモテるよね」
横顔を盗み見ていれば、不意に凌介くんがこちらを向く。交わった視線。唐突な言葉に、「うぇっ?」と声が上擦った。
「もう十分わかってたんだけど、さっき告白されてるの見て改めて実感したっていうか」
「…………」
「俺と付き合ってからも、こうやってよく告白されてる?」
「……うーん、ときどき?」
ほんとうに、今日は偶然だった。告白される度にわざわざ報告してるわけでもないし、あえて隠してるわけでもないけれど。それでも、恋人が告白されている場面に遭遇したら、それは誰だって気まずいだろう。
凌介くんだって、告白されてたらしいって何度か情報通の那乃から聞いたりする。実際にその現場を目撃したことはないけれど、いざ目の前にしたらわたしもどうしていいのかわからない。
「そうだよなー」
小さなため息と同時に空を仰いだ。