「ほら、ちゃんとした感じでさ…」

 美利は『ちゃんとした?』となおも納得がいかない様子。


「くそっ、鈍感くー」

 そう言って顔を赤らめる智樹。



「……デートがしたいんだよ、ちゃんと」



 そう言って美利と反対側へ顔を向ける智樹。

「なんだ、それならそうって言えばいいのに」

 あっけらかんと言う美利に『絶対分かってない』と呟く智樹。


「誰にもバレずに、二人きりで……恋人同士のデートがしたいんです」

 そううつむく智樹の顔は真っ赤になっている。