木の下にカバンを放り出して二人並んで座っている。

「ごめんな怖がらせて。落ち着いたか?」

 ちらりと美利を確認しながら智樹が聞いてくる。

 小さく『うん』と頷く。


「これじゃあ簡単に手紙も渡せないな」

 少し葉が増えてきた枝の間から見える空は若干どんよりしている。

「何か用事があるなら直接言ってくれればいいのに」

 そういう美利に口ごもる智樹。

「いや、誰かに聞かれるのもなーって…」

 そう言って頭をポリポリと掻いている。

「じゃあ今回みたいにならないように直接手紙をくれたらいいのに」

「いや、まあそうなんだけど……」

 何だか歯切れが悪い。


 不思議そうなまなざしを向けられ『まぁ、あの、その…』と言葉を探しているようだ。